even you

いつもキツイ事を言う先輩とまたあの子の話になった。
俺は聞きたくないのに、あの子とイケメン君の進展具合を教えてくる。
二人で話してたとか、仲良さそうだったとか
あの子が積極的だったとか、絶対あの子はイケメン君に惚れてるとか。
耳にするのも俺は嫌だが、先輩は炊きつけて背中を押してるつもりらしい。
だけど、俺は昔からライバルの出現で燃え上がるタイプではない。
もちろん、人並みに「クソーッ!」という気持ちは起こる。
でも、すぐにテンションが下がる。諦める気が出てくる。
元々、自分にそんなに自信があるわけでもないので
人と争おうという気は起きない。
俺といるより楽しそうだから、そっちの方がいいだろうと思ってしまう。
その先輩は言う。「あんた、あの子のメルアド知ってんの?」
その時、あの子が通り過ぎる。
「ほら、あんたの方を見ないよ。話し掛けもしないじゃない?」
先輩は俺にもっと積極的に自分から動けと言いたいんだろう。
だが、テンションは下がる一方。
思いを伝えようと考えたものの不利な状況が多過ぎてあと一歩が踏み出せない。
あの子から笑顔で話し掛けられでもすれば
「もしかしたら…」と淡い期待を抱いて動けるんだろうが。
自分が情けない…。